【認知症の基礎知識】分類・症状・経過・検査スケールについて勉強しよう!!

認知症
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認知症は作業療法士にとって関わりの多い疾患だよね。

認知症の分類・症状・経過・検査スケールについて、基礎的なことをしっかり勉強しておこう!!

 

 

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目次

認知症の分類

 アルツハイマー型認知症(alzheimer type dementia:ATD)

脳の細胞が変性したり消失した結果、脳が縮んで認知症になるもの。(脳内のアセチルコリンが低下すると言われている)

脳血管性認知症(vascular dementia:VD)

脳梗塞・脳出血などで脳の血管に異常が起きた結果、認知症になるもの。

レビー小体型認知症(dementia with lewy bodies:DLB)

レビー小体(Lewy Body)という異常なたんぱく質の構造物が、脳にたまることで認知症になるもの。幻覚、特に幻視・錯視が現れるのが特徴。

アルツハイマー型認知症に次いで多く、男性は女性の約2倍といわれている。     

 

認知症の症状

  • 認知症の中核症状:記憶障害・見当識障害・思考障害・認知障害
  • 認知症の周辺症状:心の症状、行動の障害、日常生活能力の低下、身体の障害

中心症状 :必ずみられる症状・・・認知機能の低下

認知機能の低下

記憶障害

健忘(けんぼう):物忘れがひどくなる  以前のことを思い出せない

見当識(けんとうしき)障害

日時、場所、人がわからなくなる、人違いをする

思考障害

考える力、理解する力が低下する…その結果、遂行できなくなる

認知障害

物事を見分け判断する力が低下する

新しいことを覚えられない 品物を見ても何だかわからない

 

周辺症状(随伴症状):必ずみられるとは限らず、身体の具合や環境によって影響される症状。

心の症状・行動の障害・日常生活能力の低下・身体の障害などがある。

心の症状

心の症状

夜間せん妄(もう)

夜になると興奮し言動がおかしくなる  夜中に急に騒ぎ出す

幻覚

あるはずのないものが見えたり聞こえたりする

妄想(もうそう)

実際にはないことをあると信じ込む 盗まれたなどの被害妄想が多い

抑うつ

気分が落ち込む   一人にされると落ち着かなくなる
実際には何でもないのに必要以上に身体の具合を気にする
いらいらして落ち着かない

行動の障害

行動の障害

徘徊(はいかい)

無目的に歩き回る   目を離すと、すぐ外へ出て行こうとする

不眠

夜眠らない、眠れない

暴力

些細なことで怒りだし暴力をふるう  

異食

目の前にあるものは何でも食べてしまう

食べられない物を口に入れてしまう

不潔行為

弄便(ろうべん)などが多い

日常生活能力の低下

日常生活能力の低下

*食事、排泄、入浴、整容、着替えなど、日々暮らすための基本的な動作ができなくなる

段取りや計画が立てられない
服の着方や道具の使い方がわからない
入浴や着替えを嫌がる

身体の障害

身体の障害

歩行障害

最後は寝たきりになる 

嚥下障害

食べ物の飲み込みが悪くなったり、むせたりする

膀胱直腸障害

尿や便が出にくかったり、失禁したりする

 

 

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各認知症の経過

アルツハイマー型認知症(ATD)

初期
  • 物の置き忘れやしまい忘れなど、加齢によるもの忘れがやや亢進したような記憶障害から始まる。そのため発症が気づかれにくい。
  • 記憶障害と同時に、感情や意欲、性格などにも変化がみられるようになる。
  • この時期では日常生活に支障をきたすことはない。
中期
  • 加齢によるもの忘れとは異なる病的な記憶障害が際立つようになる。
  • 日時や場所の見当識障害が起こり、認知機能が著しく低下していく。
  • 失語、失行、失認なども生じ、日常生活も家族の介助なしには行えなくなる。
  • この時期になると、徘徊、幻覚・妄想あるいは不潔行為などが現れてくる。
末期
  • 認知機能が高度に障害され、理解・判断力はなくなり、会話は成立しなくなる。
  • 人物の見当識障害のために家族が誰であるかわからなくなる。
  • 感情もほとんど失われ、無欲・無動状態を呈する。
  • 身体的にも四肢の硬直が現れ、寝たきりの状態になり全面的な介助が必要になる。

脳血管性認知症(VD)

  • 発症時期がATDよりも明確で、急性に発症する。人格は保たれている。
  • エピソード記憶(個人的体験や出来事についての記憶)は比較的保たれているが、知能低下が「まだら」である。(正常な部分と認知症の部分が混在する状態)
  • 注意集中障害・感情障害・意欲低下が特徴としてある。
  • 発作が繰り返されるたびに病状が階段的に悪化していく。
  • 脳血流の循環不全を伴うことから、認知症の症状が日内および日間で大きく変動する。

レビー小体型認知症(DLB )

  • 初期段階では記憶障害で始まることが多い。
  • 幻覚(特に幻視)を伴うことが非常に多く、幻覚をみたりするにつれて、アルツハイマーのような認知障害と、パーキンソニズムと呼ばれるパーキンソン病のような運動障害の両方が症状として表れる。
  • 身体変化として、頭・手足のふるえ(振戦)、手足のこわばり(筋強剛)や動作緩慢が起こる。
  • 症状が進むにつれて四肢麻痺などが発症し、刺激に対して反射運動以外の反応を示さず、周囲に対して応答しない状態となる。
  • アルツハイマー型に比べ10倍も寝たきりになるのが速いといわれている。(薬物に過敏に反応する「薬物過敏性」のため、治療薬を通常量で投与することで逆に症状の悪化を招くという理由から)
  • 発症から死亡までの経過は約5~6年といわれている。

 

 

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認知症 アセスメントスケール

質問式と観察式

検査法

スケール名

項目

特徴










改定長谷川式
簡易知能評価スケール
(HDS-R)

年齢、日時の見当識
場所の見当識
3つの言葉の記銘
計算
数字の逆唱
3つの言葉の遅再生
5つの物品記銘
野菜の名前
言語の流暢性

認知症のスクリーニングテスト
HDSの改定
生年月日の確認が出来れば対象者への
質問によって可能
HDSより弁別力高い。

長谷川式
知能評価スケール
(HDS)

記憶、記銘、見当識、
計算問題、
一般常識問題など11項目

老人の大まかな知能障害の有無とおおよその程度の判定

国立精研式認知症
スクリーニング・テスト

生年月日、日時の見当識
一般的常識問題など16項目

健康な老人の中から認知症の疑いのある老人を的確にスクリーニングし、早期発見に便利。
家族・関係者より生年月日、既往歴、健康状態の聴取が必要。

N式精神機能検査
(Nishimura Dementia
Scale)

記憶、見当識、計算、概念構成、図形模写、空間認知、運動構成機能など12項目

広範囲に知的機能を測定。
老人用精神機能検査。
認知症の程度を5段階に評価

Mini-Mental StateExamination
(MMSE)

記憶、見当識、計算、
3つの言語の遅再生、
命令指示、
図形模写、概念構成など
11項目

入院患者用の認知障害測定を目的とした短く単純化した尺度。
30点/正常、
20点以下/認知症、せん妄、
精神分裂病感情障害の疑い

Mental Status Questionnaie

見当識、計算、
一般的記憶10項目

認知症の重症度の評価であり、
認知症の早期発見。

Alzheimer’s Disease
Assessment Scale(ADAS)

認知行動11項目、
非認知行動10項目

アルツハイマー型認知症の記憶を
中心とする認知機能検査であり、
認知機能の経時的変化を評価。

行動観察
尺度
(観察式)

柄澤式
「老人知能の
臨床的判断基準」

日常生活能力、日常会話、
意思疎通がどの程度出来るかを正常2段階、異常衰退4段階で判定する。

日常生活における言動、態度、
作業能力から知能レベルの大まかな段階付け評価をする。
観察によって判定が出来る。
判定者は面接・問診技術を習熟
していること

Functional Assessment
Staging
(FAST)

臨床的特徴がStage1~7まで区分され、Stage6、7には5段階、6段階のsubstageが設けられており、病状の進行に応じた具体例を示している。

日常生活動作能力(ADL)を総合的に評価し、アルツハイマー型認知症の重症度を判定する。
家族・本人に確認しながら情報を聴取。

Clinical Dementia Rating
(CDR)

記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家族状況および趣味、介護状況の6項目を5段階で評価。

患者の協力が得られない場合でも臨床症状お全般的に評価し重症度を判定。患者の情報を家族からあらかじめ聴取しておく。

GBSスケール

運動機能6項目
知的機能11項目
感情機能3項目
精神症状6項目
を6段階評価とする。

認知症の重症度とともに質的差異も評価出来る尺度であるが、認知症の診断目的ではない。
施行が簡単、容易。

N式老年者用精神状態尺度
(NMスケール)

家事および身辺整理
/関心・意欲・交流/会話/
記銘・記憶/見当識の5項目を7段階で評価する

老年者、認知症患者の日常生活における実際的な精神機能を種々の角度から捉えた行動観察による評価。認知症状態の評価及び程度を知る。認知症状態の有無のスクリーニングにも利用出来る。

ADL
(日常生活
能力評価
尺度)

N式老年用日常生活動作能力評価尺度(N-ADL)

歩行・起座/生活圏/着脱衣/入浴/摂食/排泄/の5項目を7段階で重症度分類して評価。

老年者、認知症患者の日常生活における日常生活動作能力を総合的に捉える行動評価尺度。
介護の難易度は判定しにくい。
NMスケールと併せて評価。

Instrumental Activities of
Daily Living Scale(IADL)

電話の使い方/買い物/食事の支度/家事/洗濯/移動/外出/服薬の管理/
金銭の管理の8項目。
*男性は食事の支度、家事、洗濯については評価しない。

PSMSより高次の日常生活における活動性を施設内での処遇、ケースワークスタッフ教育のために評価をする。

Physical Self-Maintenance
Scale(PSMS)

排泄/食事/着替え/身繕い/移動能力/入浴の6項目を5段階評価にする。

特徴はIADLと同じである。
古典的であるが日常生活の身体的機能を評価する上では有用。

その他

老年うつ病スケール(Geriatric Depression Scale:GDS)

うつ状態は1.憂鬱気分、2.気力が出ない、億劫などの訴え、3.不安・焦燥感、4.自律神経症状の4つの症状から構成されている。高齢者用に作成されており、うつ状態の重症度や経過を見るものである。

せん妄評価尺度(Delirium Rating Scale:DRS

せん妄は軽い意識障害、幻覚と運動不穏を伴う状態で、特徴として夜間に症状が強く現れることが多い。DRSは発症方式、知覚障害、幻覚の種類など10項目から構成され、症状が重症になるにつれて評価点が高くなる。総得点は32点であるが20点以上はせん妄を疑う。

前頭葉機能検査(FAB)

FABは認知症の進行具合をチェックしたり、前頭葉型認知症を診断・鑑別する検査としても利用されている。

 

 

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